第15話 グリーンスピーカーズクラブ
落ち着いた住宅地マーレイヒルがあります。
メローな雰囲気でゲストを歓迎してくれるクラブなのです。教会のアネックスが会場、という事も影響しているのでしょうか?
まずは”Invocation”(インヴォケーション) という短いオープニングスピーチがあります。
何かインスピレーショナルな内容~スピーカーが会得した小さな気付きやアイデアを、
会合の初めにシェアするものです。Word of the day(その日のことば)は、Vindication(弁明、証明)。
グリーンスピーカーズでの準備スピーチの内容は、柔らかい話法を用いながらも如才なく、
哲学や人生観を述べるものが多いようです。
中でも、”かつての米国映画は地味な内容ながらも深みがあり哲学的メッセージや壮大なテーマがあった。最近の映画は派手なアクションが多く、違和感がある、なぜそうなってしまったのか?” など、
会合の後 近所のバーで行われる二次会でも大いに話題となりました。
会合では準備スピーカーが1人急に欠席したので、私は飛び入りで”Impromptu Prepared Speech” を頼まれたので果敢に挑戦。
お題はフロアから急遽募集、”ニューヨーク選出で米国大統領に初当選した、と仮定してニューヨーク市民への勝利演説をしてください、” という無茶振りされました。
やるしかない! と思い切り明るく前向きにニューヨークを讃える即興スピーチを7分18秒で敢行しました。
人生で、あれほど楽しくスピーチできた事はなかった?! と思える程気持ちよく話せました。
皆さん、とても優しく聴いてくださいましたし、初めて訪問したクラブとは思えないほど暖かく歓迎してくださった皆様の優しさで勇気が湧いたのでしょう。
私の即興プリペアード・準備スピーチに対する個人論評者は、何と自称スピリチュアリストの女性。
“マーク、貴方は昔ニューヨーク出身の政治家で暗殺されているだけあって外国人とは思えない迫力でしたね、” と切り出したので会場は大爆笑。
“オバマさんの真似をしたようだけど、カッコつけるよりも心がもっとこもっていた方がいいかも。
それに、、、
貴方はオバマさんとは違うと感じます。そうですね、トランプさんによく似ていると思います!
一番のオススメは、自分自身のブランドを確立したら最高だと思います。Be yourself!
そうすれば、もっと素敵に話せるのではないでしょうか? ”
“自分自身のブランド、、、! ” これは大きなお持ち帰りになりました。
“そのためには、自分自身を知ると良いですよ。Know Thyself. ノウ・ザイセルフ(聖書、汝自らを知るべし)”と締めくくった論評は素晴らしかったです。
米国は他民族国家ではありますが、起源はキリスト教国なのだな、と感慨が深くなりました。
ところで、グリーンスピーカーズではベストの投票を全く行わないのです。
優劣よりも内容、話し方などをみんなで話し合い意見を出し合う事に重点を置いているからだそうです。
トーストマスターズではとかく、HOW ~手法や技術に感心が集中しますよね。
しかしグリーンスピーカーズクラブでは、二次会でスピーチの内容や、スピーカーとしての心構え、人間の心、幸せな人生とは?などの話題で盛り上がっていたのが非常に印象的でした。
そして、メンバー、ゲストを問わず参加者全員が楽しく学べる会合であったかどうか?っという反省Discussionも新鮮でした。
二次会では、
“内容に関しては社会的に意義があるか、ユニバーサルなものか? そして意見の構成は? より説得力を持たせるには?
そして哲学的であったか、有効なメッセージか?” などを深く話し合うのは、とても有意義だと感じました。
欧州と日本で多くのクラブ会合に参加したことがある私は話し合いの中心に据えられましたが、矢張りここでも具体的な手法~歓迎の仕方、論評の話し方、ゲストコメントの求め方、と併せて 気持ち、心構え、そもそもサーバントリーダーシップとは何なのか?スピーチや論評とは何なのか?という哲学的話題で大いに盛り上がりました。
兎角、技術的な話題に集中しがちなTMですが、心の持ち方や考え方、そしてメッセージの意義などにも思いを至らせて二次会などでもっと話し合うのも、良いのではないでしょうか?
欧州大陸、英国、日本、米国で微妙に異なる論評手法は、価値観と文化に依拠する、なぜなら、、、など夜中まで続いたDiscussionし、心底満足!
素朴で親切、そして和気藹々とした会合ながら奥深い思考やメッセージがいっぱいのグリーンスピーカーズTMC。
ニューヨークで有名な日本のキタノホテルから徒歩3~4分にある会場も便利です、是非参加してみましょう~!