トーストマスターズ・Online (2)

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2016年04月12日(火)

トーストマスターズのスキルと経験を活かし科学者として未踏の領域に挑む

今回は実名です。今期ディストリクト76(日本支部)のクラブ担当ディレクターとして活躍中の北村恭子さんの経験談です。北村さんは工学分野では日本では珍しい女性研究者です。この度、平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞されました。

研究者として最先端に位置し未踏の領域に挑む傍ら日本のトーストマスターズのクラブサポートおよびマーケティング統括として、これまで挑戦したことのなかった新しい手法を考案しトーストマスターズの普及に尽力されています。

北村さんのトーストマスターでの学びは研究者としての夢の実現にどのように貢献したのでしょうか?

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「世界中を飛び回ってみたい!」

幼いころから、そう夢を描いてきた私にとって、研究者という道を行くことは、科学という真理を追い求め、その意味において何の境目も国境もない道のりです。

 トーストマスターズクラブの門を叩いたのは、2005年の4月。まだ大学4年生になったばかりのことでした。1年生の時にお世話になった教授の先生が、転居された先に「トーストマスターズクラブを作ろうとしている」というお話を伺ったのがきっかけでした。先生には、「あなたにピッタリのクラブだから是非見学に行くと良いですよ」と言われ、その門を叩きました。そこにあったのは、色んな世代の方々が、人前に立ち、英語でスピーチをしている光景でした。幼いころからずっと英語が上手くなりたいと思ってきた私にとって、とても刺激的な時間でした。

 クラブに入会すると、相互学習という魅力に取りつかれました。誰もがお互いを尊敬し、協力して会を運営して、一人一人がお互いの成長のために支え合って高め合っていて、何より皆さんが笑顔で学べる環境に心を奪われました。

トーストマスターズでの効果を実感したのは、程なくして、クラブ会長を任されるようになった時のことです。時を同じくして、私は自身の研究者としての道を切り拓くため、指導の先生にある女性研究者賞に推薦をお願いしていました。あらゆる分野の博士課程の女子学生を対象としている中、「工学分野の女性は珍しい」という理由で、面接選考の4名に残っていました。「たくさん論文があるわけでもなく、業績では見劣りするだろう、でも、この賞をもらえれば、きっと次の道が拓けるかもしれない・・・」と、文系も理系も多種多様な審査委員の先生方の前で、10分間、自分自身の研究内容を説明しました。

それまでにトーストマスターズで、何度も科学を題材にしては、会員の皆さんに「今日のは難しかったわ~」とか「今日のは分かった、子どもに教えてあげるね!」と言った反応をもらっていたので、トーストマスターズの皆さんの前で説明することを想像して、出来るだけ、審査委員の先生方の潜在知識に働きかけるように、プレゼンテーションをしました。審査委員の後日談によると、面接対象者の中で最下位だったのを牛蒡抜きし、圧倒的多数の票を獲得しての受賞となったそうです。

次にこの効果を実感したのは、就職面接の時です。最終選考の面接は、当時の大学の総長と1対1、英語で行うものでした。圧倒的な存在感のある総長を机一つで向かい合わせとなり、10分間、次から次へと「この漢字を見て何を想像しますか?」や「あなたの人生哲学は?」など想定外の質問がなされます。ここで役立ったのは、Table Topicsでの訓練でした。想定外の質問にも頭が真っ白とならずに、冷静に、その時に頭に浮かぶ出来る範囲の語彙を使って、論理的に。。。これも後日談を聞くと、最終選考のギリギリのところにいた私を総長先生が採用しようと言ってくださったそうです。

このように、自分の人生を築いていく上で、トーストマスターズで学んだことが活きている私にとって、最近またトーストマスターズでの学びを実感しています。今、私は5人の学生を研究室に抱える若手PI(研究室主催者:principal investigator)となりました。

この一年で経験したことは、いかに自分の研究を効果的に伝え、予算を獲得し、そして、学生さんたちのモチベーションを維持しながら、研究を遂行するか、ということです。これは、まさに、トーストマスターズで学んだリーダーシップの経験が活きる機会となっています。

ディストリクト役員という役職にもあずかり、マーケティングという、ただ研究者をしていては考えることのないようなことも、考えてやってみる機会をいただき、それが実生活に還元されています。

「世界中を飛び回ってみたい!」

という幼いころからの夢も、今、私は、研究者としてもトーストマスターズとしても世界中と繋がっています。

この度、平成28年度文部科学大臣表彰若手科学者賞の栄誉にあずかり、いつもたくさんの経験と学び、そして楽しみを享受させてくれるトーストマスターズの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

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北村さんが受賞された平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰はこちらにあります。おめでとうございます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/04/1369460.htm

 

2016年04月10日(日)

還暦前に思いもかけないチャンスが訪れました!

今回のトーストマスターは、ある英語トーストマスターズクラブの会員のご経験です。トーストマスターズが楽しく毎日生き生きとしていたら、お友達から「学校を手伝って欲しい」と請われます。そこから思いもかけない方向に人生が拓けました。
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私は、トーストマスターズの活動のお陰でこんなプレゼントをいただきました。
さる名門女子校の教壇に立つことになったのです。

2009年3月期より、ピンチヒッターとして教職のオファーがありました。還暦前にして初めて教壇に立ちました。

私にはその学校で重要なポストについていた友人がいました。あるときその友人から「あなた、そんなに生き生きと活動しているなら、私の学校を手伝っていただけないかしら。」と頼まれました。

せっかくの機会ですし、ほんの1月期だけと思っていましたが、ご縁があったのか現在に至るまでずっとオファーがあり教職の仕事を続けています。

この学校で指導をしていると様々なことがありました。Communication Englishをある由緒あるお家柄のお嬢様に指導する機会にも恵まれました。こうした名家の方は人前のプレゼンに慣れていらっしゃると今更ですが感心いたしました。

私のプレゼンの指導では、生徒たちに具体的なイメージを持ってもらえるように「プレゼンテーションを行うときは指揮者の小沢征爾さんのように颯爽と出て来る。そして髪の毛の一本一本にまで気持ちが溢れるようやってごらんなさい。」と言っています。この指導法も長年トーストマスターズでスピーチに対して会員同士お互いに教えあった中から編み出した実績のあるものなのですが、こうした指導法に生徒たちは本当に楽しそうにプレゼンテーションを行ってくれます。そしてプレゼンテーションに慣れた生徒たちもいっそう楽しくプレゼンテーションをしています。

将来あるやる気に満ちた生徒たちにプレゼンテーションや英語を教えることで彼女たちの将来に貢献する仕事です。還暦を前にしてまさに天職を得た思いです。

もし私がトーストマスターズで学んでいなければ、こんな機会がくることはなかったでしょう。若い生徒たちとの毎日のおかげで私は以前にも増してエネルギーに溢れていることを感じます。

これもトーストマスターズのお陰と思っています。

2016年04月06日(水)

楽しく学んで、つかんだ昇進!

今回のトーストマスターは、入社6年目営業職の女性です。現在ある日本語トーストマスターズクラブの会員です。入社2年目に後半や上司の前でのプレゼンテーションで大失敗。

これでは未来がないと一念発起して探し当てたトーストマスターズクラブで彼女はどのように成長したのでしょうか?
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私がトーストマスターズクラブに入ろうと思ったきっかけは、会社での失敗体験でした。

社会人2年目のとき、後輩たちに自分の業務の紹介をするプレゼンテーションを行うことになりました。

現在は営業職ですが、当時SEとして仕事をしていたため、業務はパソコンの前でプログラムを書くことが中心。ほとんど人前でしゃべる機会がありませんでした。

プレゼン当日は思うように話が出来ず、顔は火照り、汗はびっしょり。途中から何をしゃべったか記憶も曖昧…。

当然、結果は大失敗。上司には小言を言われ、後輩たちには困惑した表情をされました。

これから社歴が上がっていくにつれて、もっと人前で話をする機会は増えていくだろうと考えたとき、二度とあのような失敗をしたくない!という強い思いが私を掻き立てました。

そしてインターネットで偶然見つけたのがトーストマスターズ。「先生はいなくて、会員相互の建設的なフィードバックによって互いに成長していける」という言葉に惹かれて、その門をたたきました。

スピーチのテキストを進めていく中で、スピーチスキルはもちろん上達していきました。しかしそれに加え、テーブルトピックス(即興スピーチ)や他の会員のスピーチに対する論評(フィードバック)、例会運営などクラブの例会を作り上げる要素すべてが学びとなり、私の成長を助けてくれました。

特に一番成長を加速させたのが『論評』(他の会員のスピーチに対する前向きなフィードバック)でした。自分が論評することはもちろん、様々な立場の人から論評されることで更に学びが大きくなりました。

そのおかげで「どうやったら上手く話ができるか」ということよりも「どの言葉を選んで届けたら相手の理解につながるか?」というのを日常的に考えられるようになりました。

この経験は、上司に報告をするとき、後輩に仕事を依頼するとき、お客様にサービスを伝えるとき、すべてのシーンで役に立っていきました。

そして今年、社会人6年目にして昇進試験にチャレンジ。

昇進試験の課題であった「プレゼンテーション」では、審査員・上長含め全員から太鼓判をもらえました。4年前の自分からは想像できないくらい、堂々と気持ちよくプレゼンをしている自分がいました。

結果はもちろん、合格。

もし、あのときトーストマスターズに出会っていなければ。クラブの仲間たちの前向きな助けがなければ。きっとこの結果はついてこなかったと思います。

トーストマスターズは、私のことを社会人として、人として、大きく成長させてくれました。

次は、私の感じてきた経験を新しく入ってきた後輩メンバーたちに伝えていきたいと考えています。

2016年03月30日(水)

自分を追い込む英語環境で一気に飛躍!

今回は大手電機メーカーでエンジニアとして活躍するある40代の女性会員の体験です。英語で例会を行うトーストマスターズという環境に自らを追い込み、強制的に英語を使う環境を作った決断によりスクールでは得られなかった高いレベルの

英語運用能力を得たというサクセスストーリーです。
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Toastmastersによる英語力強化について

1. 入会前と後
入会前、いろいろな通訳・翻訳スクールの上級クラスに通いました。ディスカッションはなんとかできるようになりましたが、自由に話せるようにはなりませんでした。

2000年ころ最寄りのトーストマスターズクラブに入会した時は、自分の話はできても、相手の会話に反応して会話をつなぐことはできませんでした。しかし、2年後シンプルに会話が成立するようになりました。

TOEICの点数でいうと、700点台→900超に伸びました。

最初は英語のテーブルトピック(即興スピーチ)が本当につらかったですが、このクラブの環境のおかげで伸びました。私の入ったクラブが英語だけで例会をやるクラブだったのが功を奏しました。もし、バイリンガルのクラブだったらここまで上達しなかったでしょう。

トーストマスターズクラブは英語力増強のソリューションとしては、費用対効果は一番であると思います。
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2. トーストマスターズに入会して何が良かったか
・例会参加により、受動的(読む、聞く)ではなく、能動的(書く、話す)に参加する必要があることが一番良かった。
・スピーチやテーブルトピックで、「自分の言いたいこと」をまとめて話す訓練から[逃げられない]こと。
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3. トーストマスターズで何をしたか?
私は、まとまった時間スピーチをするために、英語で

1. トピックの調査をする(Webの記事、ニュースを見る、本を読む)
2. 調査した結果をまとめて自分で英語の文章を書く
3. 暗記するまで話す練習をする

これをひたすら繰り返しました。

暗記した文章は、他の場面で何も考えずに出てくるようになりました。

また、クラブ関係のcommunication mailは全て英語なのでbusiness mailを書くのも困らなくなりました。いまやもっと語学を活かす機会がほしいです。
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4. 副次的に得たスキル
クラブという組織、クラブを統括するエリアという組織の役員をやることで、数十人の前で日本語でも英語でも話す機会が増えました。

おかげで(勿論Brokenではあり、語彙も多くないので、全ての主張を流暢に話すところまではいきませんが)今は仕事上の電話会議でも十人以上いるface to faceの会議でも、自信をもって話せるようになり、全く遠慮しなくなりました。
同じ部署内では、海外長期在勤だったただ一人の上司以外では、誰よりも話せると自負してます。
また、私の場合、英語を話すのはほぼクラブのみで1.5週間に1度くらいですが、レベルが落ちないのは継続的に例会で英語を使用しているおかげです。

2016年03月16日(水)

あんなに遠かった世界、そしてもうひとつの使命。国際規格制定のために世界を飛び回るエンジニアKさんの体験談

入社当時全くできなかった英語。しかしトーストマスターズで与えられた機会を逃さずに英語を磨き、今や会社をそして日本を代表するエンジニアとして国際規格制定のために世界を飛び回る毎日。そんなエンジニアKさんのお話です。
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「ベラベラ語ってんじゃねーよ。技術屋は黙って良いものを開発すりゃ良いんだ!」

心身共にフレッシュマンだった私を一蹴する上司に私の心は固まりました。

今から約25年前、1990年前後は、バブル景気の真っただ中、日本の製造業は右肩上がり。

私は、ある日系企業の研究所に配属され、通信やエレクトロニクス機器に使われるデバイスの開発を行っていました。

上司は日本のモノづくりに携わってきた典型的な昔気質のエンジニア。当時は、テレビ、ウォークマン、ハンディカムなど、メイドインジャパン家電製品が世界中を席巻。そう、自ら語らず、考えず、疑問を持たず、ただ黙々と働くことで間違いなく日本中が幸せになれた時代でした。

実は私、英語が嫌いで選んだ理系。でも世の中は優しくありません、英検二級取得の会社規定がいつまでも遥か遠くに見えていました。英検の問題集は、全く興味が湧かなかった学校英語を思い出させて、いつまでたってもやる気が出ない。それでもギリギリクリアした時、共同研究の提携先、ドイツのメーカーへ2週間出張しました。

言葉は半分、でも世界をもっと知りたいという好奇心が暴走し、なんと数ヶ月後には外資系の企業に転職してしましまいました。

新しい会社、そして海外出張の英語にも慣れた頃、上海工場の教育係を命ぜられ、毎月訪問して専門分野のワークショップをしていました。

いつも他愛もない話をする間柄なのに、みんなつまんない顔で私の話を聞き、半分は寝ている。なぜ!?英語が話せることと、人前で話すことのスキルの違いに気づいた瞬間です。

2005年末に英語トーストマスターズクラブの門を叩き、翌年Competent Communicator賞(入会して取り組むテキスト指定の10の課題に準拠したスピーチを行うと与えられる賞)、その翌年毎にVPPR(所属クラブの広報宣伝担当副会長)、President(所属クラブの会長)、Area Governor(4つから6つのクラブをサポートを行うリーダー)と周囲の支えに恵まれました。

そしてDivision Governor(4つから6つのエリアをサポートするリーダー)を半分過ぎたコンテストシーズンに、東日本大震災。私のDivision、そして私の故郷、福島。

急遽、翌日のArea Contestの延期、東日本各地のクラブの確認と、多くの仲間たちの連携で何とか乗り切りました。でも、余震、計画停電、福島第一原子力発電所の状況から主催クラブとして関わっていた2011年春季全国東京大会は中止。仲間とともに無念の涙を飲みました。

一方、あんなに苦手だった英語。入会時の目標、英語スピーチだけでDTM(トーストマスターズの教育プログラムで求められるすべてのスキルを取得した人に与えられる最高位の賞)を取得。これはその後の人生の力になっています。

2012年、リストラに遭遇しながらも国内外の仲間からのエールで何とか会社に留まり、それまで4人でやっていた仕事をひとりでやらざる得なくなりました。退職を余儀なくされた同僚、そして震災復興に頑張る友人知人のことを考えると辛いとは言えません。

研究開発、業界団体委員、国際規格委員を掛け持ち。そしてあんなに苦手だった英語で、毎週のグローバル会議。ほぼ毎月の海外出張。なんで私にできるのかふと不思議に思うことがあります。

その外資系企業にこの3月で勤続20年、人生は本当に不思議です。さらに不思議なのは、新たなドリームを叶えるため、50歳をとうに過ぎて仕事を持つかたわら再び学業にも足を踏み入れてしまいました。

Toastmasters、日本に居ながらGlobal普遍のコミュニケーション、そして発信する力が身につく道場。

10年前まで、テレビ、パソコン、携帯電話のコマーシャルがTVを賑わせていた。でも、最近は見ることはない。日本があんなに得意だったエレクトロニクス産業、会社ごと海外に売られる時代。

今、エンジニア、そしてそれぞれの仕事や暮らしの中で、日本、そして世界に向けて「私たちの技術、産業、文化は素晴らしいんだ」と自ら発信しないと何も始まらない。

自身が、地元が、そして日本が、今一歩踏みだせるように、自らを、自らの言葉で、自ら発信する。Toastmastersでパブリックスピーキングを学ぶ私たちのもうひとつの使命だと噛み締めています。

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