2019年 日本語スピーチコンテスト

スピーチコンテスト優勝者からのメッセージ

 

2019年 日本語スピーチコンテスト優勝者

柴田 登子
新橋トーストマスターズクラブ

・クラブ力
・マーケティング

私にとってコンテストで必要なのはこの2つだと考えています。その人のボキャブラリーや表現力がどんなに豊かでも、それだけで結果の出るものではありません。よって今回のコンテストではその2つを如何に活用していくか、ということに焦点を絞りました。

【マーケティング】
これまで何度か「スピーチの作り方」についてワークショップを実施しましたが、必ずお伝えしてきたのは「聴衆が求めているものを察知する」ということ。コンテストで上位を狙う、すなわち万人に理解されるには、自分の好きなことを好きなように話していては結果につながりません。世の中では今どんな考えが主流で、何をメッセージとして投げかければ人は感動し、行動変容を起こすのか、ここから組み立てることが必要だと考えてきました。

そんな私は今回のメッセージは「固定観念など捨てて自分らしく自由に生きよう」。これは私がキャリアカウンセラーとして日々来談者に感じていたことです。自分の行動を制限しているのはいつも「こうあるべき」という固定観念。そこに自分を当てはめようとするから苦しくなる。自分ではめたそんな枷を外す気づきを聴衆にもたらすことが狙いでした。

結果的にあれだけユーモア要素が強かったスピーチで、メッセージについてたくさんの反応をいただき、やはり私が日々感じていた通り、そこに何らかのものを感じている方が多かったのだと実感しました。少しでも「明日からほんの少しがんばってみようかな」と思ってくださればとても嬉しいです。

【クラブ力】
スピーチは聴衆がいないと成立しないので、自分がどんなに良いと思っているトピックでも、聴衆が「わからない」と感じてしまえばその効果は全く得られない。そこを潰していくのがコンテスト対策なのですが、そのために必要なのが周囲のフィードバック。

今回、私が代表となったのは新橋トーストマスターズクラブ。実は入会は昨年の11月。会長の浜野さんから「日本語コンテストをホストする新橋から、同時に優勝者も出したい」とワークショップを依頼され、その熱意とクラブの雰囲気についつい移籍。そして勢いでクラブコンテストに出て代表となりました。

正直なところまだ慣れないクラブの代表、という状況で勝ち進めるとはとても思っていませんでした。しかし新橋のメンバーには何度も練習の機会を設けていただき、原稿の改訂に行き詰った時も、私のコンテストスピーチの原稿を覚えて目の前で実演し客観的な気付きを与えてくださるなど、手厚いサポートをいただきました。本番前日にクラブメンバーの前で最後のリハーサルをした時のみんなの笑顔は、何物にも代えがたいほどの応援メッセージでした。

退職により既に退会していた日立グループの企業クラブ、Big Tree Toastmasters Clubのメンバーからも、数年にわたる所属から得られた私の持ち味や持論を考慮に入れたフィードバックをしっかりいただきました。在籍期間の短いクラブの代表だったため、この部分でのサポートは本当にありがたかったです。

こうしたことから表彰式で自分の名前が最後にコールされたときは、嬉しいというよりもサポートしてくれた面々に「ありがとう」と思うばかりでした。迷い苦しみながらも、2つのクラブメンバーの熱意によって「一人でスピーチを創っているのではない、みんなで創り上げているのだ」という安心感を得られたからこそファイナルまで駆け上がれた気がします。

これからも、自分がコンテストに出る時も、誰かをサポートするときも、これら2つのことを大切にしながら新橋からの連続優勝者、もしくはBig Treeからの日本初の企業クラブチャンピオンを輩出したいと思っています。何といってもスピーチコンテストは個人競技ではなく団体競技ですから。