第3話 マンハッタントーストマスターズクラブ

ニューヨークの中心、マンハッタンはお好きですか?
米国経済と世界経済の中心地と言われるマンハッタンは、活気溢れる街。マンハッタン島だけで、100を超えるトーストマスターズクラブがあるのです!
その名も「マンハッタントーストマスターズクラブ」は、毎月第2、第4木曜日に例会を行い、会場は3番街、42丁目からもほど近く、
グランドセントラル駅からのアクセスも良い高層ビル内です。
マンハッタン島では、南北に走る道はアヴェニューと呼ばれ、東西がストリート。
大阪の筋、通り、と同じです。
ブロードウェイだけは斜めに走り、街ではなくウェイ、ですが……。マンハッタンにあるほとんどのクラブでは、会場に入るために身分証明書が必要となります。パスポートが一番望ましいでしょうか。(多分常時、武装した保安員が入り口でお待ちかねです。)例会は、マンハッタンの高層ビルを見下ろす会議室で行われます。普通ではまず入れない企業や出版社のオフィスが会場ですから、
トーストマスターの特権は絶大です! 有難いことですから大いに活用しましょう!
会場では、大きな楕円形のテーブルと、革張りに椅子が出迎えてくれます。
ゲストの参加費は、無料。会合は、午後6時に開始、午後8時に終了します。マンハッタンの多くのクラブでは、開始と終了時刻が日本や欧州よりもかなり早いです。

私はマンハッタンクラブ例会に3回参加し、大いに楽しみました!

30人ほどが入る、良質の内装を施された立派な部屋には、心地よい調和感があります。
会員は皆さん親切で気さく、感じの良い人たちばかり。コミュニケーターとしても優れておいでです。
会合が始まってからすぐに、私はこのクラブの虜に。

時間の管理? これがまた、最高なのでした!
スピーカー4人、論評4人、テーブルトピックス7人と総合論評、これで2時間キッカリでした。
テーブルトピックスは斬新な質問で、「7人の小人のうち、いつも居眠りしている小人スリーピーとして、白雪姫の秘密を暴露せよ」という
お題に、私は楽しく答えることができました。
質問者がメロディーのように話し、緊張を和らげてくれたのも助かりました。このやり方は大発見!

私以外、全員英語はNative。速口の人は本当に速いですよね、NYスピード。まさに稲妻のようなスピーチや論評から多くを学びました。
ゲストの自己紹介でさえ、気が効いていまして、オリジナル感に溢れたものでした。
たとえば、ひとりの英国紳士が、「”Curiosity killed the cat.”(英国の諺。好奇心は危険という意味) というが、私は猫が大好き。
このクラブが愛猫家にとって危険な場所でないと良いのですけどね」と、巧妙な話法で述べると会場から笑いが起こりました。
次の私はパニック……気をとりなおして、「私は東京出身、今はパリ在住だが、マンハッタンに越してきたい。まだニューヨーカーには
なれませんが、”出来るまで真似をしてしのげ※”という諺ように、ニューヨーカーの真似をしますよ」と、自己紹介をし、新たな笑いを
起こすのに成功。

※Fake it until you make it!
フェイク 、メイク、と韻を踏んだ言い方。意味:本物になれるまではふりをしろ

このような「緊急事態」も頻発。知己に富んだ挨拶が必要な場合に備え、独創的で耳目を引くような英語の挨拶をいくつか用意することが重要だなと再認識。

会合の後は、グランドセントラル駅近くのバーで23時まで、楽しく活き活きした会話を楽しめました。
(二次会に出席すると親近感はグッとアップします。日本と同じです。)

その1か月後、マンハッタンTMCは「ブルックリン橋を渡って遠足」会合というスペシャルイベントを実施。
ノンメンバー唯一の参加者であった私は、注目の的となり、また暖かく歓迎されました。

ブルックリン橋を歩きながら3か所、眺めの良い場所で止まりスピーチを3つ聴き、またブルックリン公園でもスピーチを楽しみました。
通行人の方々もあまりにも上手なスピーチに足を止め聞き入っていました!
さらにダンボ地区(ブルックリンの、ブルックリン橋とマンハッタン橋の間の地域、最近流行っている~Happening place) のバーで、
論評セッション。

こういう会合は初めての経験でした!

お酒の手伝いもあり、論評では皆さん表現力がますます豊かになりながらも、礼節をわきまえ如才ないトーンに終始していましたのは流石。

さあ、総合論評は全員参加で各自2分が持ち時間。

私は感想を述べ、またクラブメンバーの皆様に改めて深い感謝の念をお伝えしたところ、皆さん満場一致で「次回はメンバーになりなさいよ!」と勧めてくれました。

ごくまれに(once in a blue moon)、あたかも周りの人たちと前世で一緒だったように感じることがあるかもしれません。
輪廻転生があるのならば、ですが。
まさにそのとき、クラブメンバーのグループに精神的なコネクションがあるような感じがしました。

このエキサイティングなOuting meetingの後、改めてマンハッタンTMCの大ファンとなった私。
クラブの会長が、こう語ってくれました。
「トーストマスターズを楽しむために必要なのは、Discipline! (自らを正すこと!)」
まさにその通りだと思います……! 時間制限内に話す、ルールを守るのも、Discipline というのだそうです。
なるほど、たしかにクラブメンバーは皆さんDiscipline(自己制御)、Integrity(真摯な高潔さ) 、Unswerving Principle(揺るぎない信念) を持った人たちです。

マンハッタンはビジネスジャングル。メンバーの皆さんは、極めて激しい生存競争にさらされているのです。
各自、自らの有能さを示してきたからこそマンハッタンやニューヨークに住み、仕事に従事しているのです。
そしてさらに、人生をより豊かに送るため、より優れたスピーカー、リーダーとなるためにマンハッタンクラブに入会し、自身を高める努力を怠らないのですね。
みんなで楽しく、でも基本はDiscipline!

米国東海岸にお運びの際には、是非ともマンハッタントーストマスターズクラブを訪問なさいますことを心からお薦め致します!

http://www.manhattantoastmasters.com