2010年秋季 ユーモアスピーチコンテスト

2010年秋季 日本語ユーモアスピーチコンテスト優勝者

ユーモアスピーチコンテストでの優勝と学び

嶋村 真由美
熊本 Toastmasters Club

 

 この度の日本語ユーモアスピーチコンテスト優勝は、何よりも嬉しく思っております。

私のことをよく知る人は「嶋村さんがユーモアで!?」と驚かれたようです。それくらい、スピーチの中にユーモアを織り込むことなど大の苦手とする私です。ですから今回のスピーチは私のひとつの挑戦でもあったのです。
このスピーチの勝因は、皆様からいただいた感想やコメントシートから分析すると「自然体であった」「オチが良かった」の2点にあったように思います。この2点は、私が重点を置いたところでもあり、皆さんにお話しする価値があるかと思いますので、以下に記します。

 

「自然体であった」
このような評価をいただいたのは、私が「自分らしさ」を大切にしようと考えたからだと思っています。自分らしいユーモア。ここで言う自分らしいとは、その人の持ち味を活かしたユーモアということです。例えば、演劇の舞台で、脚本家が面白い台詞を書いていても、役者がそれを自分のものにしていなければ、取って付けた様で全く受けません。台詞や演出が役者の持ち味とぴったり合ったとき、会場はどっと受けるのです。
日常会話でも「あの人から聞いたときは死ぬほどおかしかったけど、私が話したらぜんぜん受けなかった。」という経験がみなさまもおありではないでしょうか。
そこで、題材としては最も自分のものとして語りやすい体験談を選びました。原稿は読んでも面白さが伝わるものにしたいと思い、はじめは読み物風に書いてみました。登場人物の心理描写や動きを細かく表現することを心がけ、構成としては共感と意外性でもって組み立てていきました。それをスピーチにしたとき、私がどんな言葉を選び、どんな言い回しをしたときに笑いを誘うのか、普段の会話も思い浮かべ、自分らしい表現方法に変化させました。
そして私の好きなスピーチのスタイルに作りあげること。これは今回どんな論評をいただこうと、揺るぎの無い決心でした。聴衆に効果的に伝えるためのスピーチのスタイルは様々ですが、私が目指したスタイルは、内容は別として、結婚披露宴でも出来るようなスピーチです。小道具や広いスペースを使わず、話術とボディランゲージを効果的に使うというものです。実際に出来ていたかどうかは、皆さんから手厳しい論評をいただきたいところです。
ディビジョンコンテストで「地味だけど何かおかしみがあるよね」という感想をもらったきに、半分は成功したと思いました。そこで、舞台に合わせた派手さに膨らませることも必要だと感じ、ステージの空間をただの空間として感じさせないものにしたいと思いました。それは、スピーチの内容であったり、私のかもす雰囲気であったり、舞台上の動きなどから聴衆に感じてもらうものであろうと考えました。この点は、お芝居のDVDを何度も見ながら、動きやしぐさ、間の取り方について研究(大げさですが)しました。
今回のスピーチでは多少工夫したつもりですが、これについては、今後も私の課題です。
「オチ」
皆様から大変な好評をいただきましたオチは、最終まで二転三転しました。ユーモアスピーチという内容なだけに、どのレベルのコンテストでも何々がおもしろかったとの褒める論評が殆どだったのですが、「オチ」だけは、必ず改善点として上がるのです。
今回のスピーチは全て事実ですが、オチは事実を述べてもつまらないので、揉んだりひねったり苦心しました。クラブとエリアでのオチは自分自身に焦点を当て、ディビジョンではウェイターに、ディストリクトまでの推敲ではシェフや第三者にとしていましたが、どうしてもピンと来るものがなく、もがいていました。
コンテストの2日前に、ふと、オチの部分だけにとらわれていることに気がつき、冷静にストーリーを洗いなおしてみました。このスピーチの中で意外性のある最も存在の薄いのは誰か、オチの伏線となるものは何か。そこで、浮かんだのがウェイトレスと彼女の一言でした。直前の笑神降臨と、笑ってくださった皆様ありがとうございます。
笑いというのは、聴衆の心の動きでは最もわかりやすい反応です。それだけに、気分が乗ったり、「こんなはずでは」と焦ったりスピーカーの心理状態にも大きく影響を与えます。今回、インハウスからディストリクトまで同じ内容でスピーチしたのですが、聴衆によって笑いのポイントが違うことを痛感しています。聴衆に合わせてセンス良くユーモアを使いこなせるテクニックを身につけたいものです。
また、自分らしさということで通してきましたが、自分らしさというのはあくまで主観的ですので、皆様の反応や感想から、パブリックスピーチの場合は客観性を意識することが大切だということも改めて学習しました。
最後になりましたが、応援してくださった皆様に心よりお礼を申し上げます。教育セッションのトレーナーを受けていたためディストリクトコンテスト出場の辞退を考えていた際に、コンテスト出場を叶えるためにいろいろとお計らいくださいました方々には本当に感謝しております。お陰様でそのプレッシャーも原動力となりました。
インハウスコンテストでちっとも笑ってくれなかったクラブのメンバー。推敲に気合がはいりました。
コンテスト当日、実行委員の仕事で既にへとへとに疲れていた私に「嶋村さん、化粧が乱れてる」「だめだめ、疲れが見える」と出場前に忠告してくれたエリア63の女性たち。女性のプライドに喝がはいりました。
笑顔で送り出してくださったディビジョンFの皆様。優勝を喜んでくださった皆様。
本当にありがとうございました。
2010年日本語ユーモア入賞者