全国大会レポート(3): 日本語スピーチコンテスト

5月12日(日)、東京・船堀にて行われた全国大会にてディストリクト76 スピーチコンテストが開催されました。

スピーカーは9人、各ディビジョンの熾烈な戦いを勝ち抜いただけあってどのスピーチも素晴らしく、甲乙つけ難かったです。私が審査員ならきっと悩んでしまったことでしょう。

1番目のスピーカーはディビジョン G代表、河村純子さん、「ハローワーク」。70歳の「就活」にまつわるお話です。トーストマスターズの活動で培ったスキルで、見事食育アドバイザーという職業に就くことができ、何もかも新鮮で刺激的な毎日を送れている…いくつになっても、新しいことに挑戦できるという、非常に元気の出るスピーチでした。

2番目のスピーカーはディビジョン A代表、吉澤隆さん、「その一線超えてみる」。消防団の制服で登場。高校時代の友人に誘われて(騙されて?)地元の消防団に入団して、人生が変わったエピソード。自分には縁がない、無理だと思っても、「一線を超えてみる」ことで新しい世界が広がる、というわくわくするようなスピーチでした。

3番目のスピーカーはディビジョン F代表、戸田和子さん、「ふたつのYOU」。言いたいことを言えなかった自分が、トーストマスターズに入って、人から話をちゃんと聞いてもらえるという体験をして、自分を信じることが出来るようになった。ふたつのYOUとは、勇気とユーモアのUです。スピーチ中の「知らんけど」というフレーズは、その後流行語になりました。センシティブな話をユーモアの力で、面白おかしく語るデリバリーは素晴らしく、引き込まれました。2位入賞です。

4番目のスピーカーはディビジョン B代表、平林美智子さん、「5秒間」。 せっかちで失敗ばかりの毎日、そんなある日、エレベータの中で出会った老紳士の穏やかな一言に動かされ、イライラしたら「5秒待とう」と決心した。すると、だんだん気持ちに余裕が出てきて、これまでと違う見方ができるようになり、自分自身も癒されるようになった。待てなくてイライラしたら、本当に急ぐ必要がある事なのか、問いかけてみよう、と共感できるスピーチでした。

5番目のスピーカーはディビジョン C代表、首藤広子さん、「そして舞台へ」。病的な上がり性に悩まされ、様々な手段を講じたが一向に良くならず、人生お先真っ暗…と思っていた時、トーストマスターズと出会い、上がり症克服。数々の失敗が今の自分を作っているが、失敗して落ち込んでいる時間は、未来の自分には必要ない。未来のステージはあなたを待っている、という力強いメッセージのスピーチでした。

6番目のスピーカーはディビジョン E代表、佐藤真由子さん、「虫の目、鳥の目」。独特なタイトル。「虫の目」で自分の周りのことを良く見、「鳥の目」で将来を遠くから見据えることが必要。目に見えていることだけが全てではない。困難は、克服するためにある。繰り返す辛いことは、繰り返し乗り越える。思わず目から鱗の、衝撃的なスピーチでした。

7番目のスピーカーはディビジョン D代表、柴田登子さん、「夢のお姫様抱っこ」。幼いころからお姫様抱っこをされることが夢だったが、結局夢はかなわなかった。だからお姫様抱っこをされる側ではなく、する側に回ったら、自分のやりたかったことはこれだったのだと気づいた。固定観念に縛られていたら人生楽しくない。自分の個性を大事にしようという、ポジティブになれるスピーチでした。優勝です。

8番目のスピーカーはディビジョン H代表、西田則子さん、「素直な言葉で」。刑事が、犯人を自白させるテクニックの「~ではないですよね?」「~は無理ですよね?」という、相手に否定形で語り掛ける話し方を夫や上司に試してみたところ、相手をコントロールでき、自分の要求が通ることに気づいた。でも友人からのお誘いで、「ダメでしょ?無理でしょ?」という言い方をされて思いがけず、不愉快な気持ちになり、素直な言葉が一番だと気づいた。ちょっとドキッとするエピソードからの大切な教訓。考えさせられるスピーチでした。3位入賞。

9番目、大トリのスピーカーはディビジョン I代表、矢野誠恭さん、「芸は身を助く」。袴姿で登場。講談師のようなよどみ無い話し方が印象的。ご自身の趣味である競技かるたが、海外に単身赴任中、人間関係に行き詰まっていた孤独な自分を救ってくれた、かるたで国際交流ができ、新たな生きがいができたという、心温まるスピーチでした。競技かるたについてもっと知りたくなりました。

9つの珠玉のスピーチ、見事なパフォーマンスを堪能した後は、人生がちょっとだけ変わった気がします。これだからスピーチコンテストはやめられません。

(東海TMC 清水)