世界大会コラム(全11回): 「世界に挑戦する人にしか絶対にわからない」こと 世界へ挑む日本人ラスベガスへの道 9

なぜ、あなたはトーストマスターズでパブリックスピーキングとリーダーシップ、コミュニケーションスキルを学んでいるのか?
「人前でうまく話せるようになりたい」
「仕事でスキルアップしたい」
「学びの場として最高だから」
「英語をもっと話せるようになりたいから」
「日本人だけでなく、色々な人と知り合えるから」
「モテたいから (?)」
人により、目的は様々だろう。

2013年シンシナティ・セミファイナルの舞台裏にて。
ここでマイク係にマイクをつけてもらい、順番を待つ。

田村 直樹がトーストマスターズで学びはじめた最初の理由は、今までブログでも書いてきたとおり「プレゼンスキルの上達=自分のため」だった。それが、年数と経験を経て「カイゼンをしに来る=他人と自分のため」と、より幅が広がったことで、結果として世界大会で競えるレベルにまで上達した。
2011年の世界大会出場が決まったとき、田村は前年の世界大会のDVDを購入した。
「セミファイナリストは、世界の舞台でどのようスピーチをしているのか」自分自身のスピーチとのポジション的な違いを把握しておきかったからである。
とにかく、はじめて世界大会でスピーチをするので「日本の代表として、恥ずかしくないスピーチをしなければいけない」というプレッシャーが田村を取り囲んだ。
スピーチでストーリーを語るときに必須の技術キャラクタダイアログの活用、観客(オーディエンス)をシーンのなかに呼び込み体験をシェアする技術、言葉のリズムや修辞技法の使い方から、顔の表情で言葉では伝えられないことを伝える技術など、世界大会のDVDを繰り返し見て練習を重ねることで、世界チャンピオンから色々なことを学んでいった。

2011年は、なにもかもがすべて初めて。準備のしかたもわからない。ステージに立った瞬間何が見えるのかもわからない。
とにかくすべてがわからない中、手探り状態でスピーチをしていた— それが2011年のラスベガス大会だった。
しかもその時の会場は、会場が暗く照明がまぶしく、観客がまったく見えない。
だから笑い声は聞こえるけど、顔が見えない。「オーディエンスとコネクトする」ということがほとんどできなかった。スピーチをするというよりも、「何か見えない敵と戦っている」という中で終わった。
2013年のシンシナティはその逆だった。
準備のしかたも知っているし、ステージに立ったら何をすればいいのかも全部知っている。
スピーチの内容も自信を持っている。そして舞台に立った瞬間、自分のイメージした通りの光景がそこにはあった。照明も前回より明るかったので、今回は観客(オーディエンス)の顔がよく見える。豪快に笑っているのがはっきりと見える。
「本当にオーディエンスと会話をしているような感覚」が終始寄り添った。
その時、田村直樹は「国際舞台の上でひとり何を見ていたのか」というと、オーディエンスの表情だった。
オーディエンスが豪快に笑っていたので、それを見ているこっちが笑ってしまいそうになるのをこらえてスピーチに集中するのが大変だった。
タイムオーバーになるということはスピーチの最終章に入るところでわかっていた。
「プランBで短くまとめて時間内に終わらせる」か、「タイムオーバーになっても用意していたフルバージョンをきちんとオーディエンスに届けるか」の二択。
こんなに自分のスピーチを盛り上げてくれたオーディエンスに報いたいという気持ちが先行して、迷わずタイムオーバーを選んだ。

彼を知っている人ならお分かりの通り、田村さんは通常英語のセッションしかしない。論評も、コメントも、会合後の雑談まで全てが英語で終わる、ということも決して珍しくない人である。
そんな中、「トーストマスターズに来て学ぶ目的」は決して英語ができる人だけのものではない。
同時に、どんなに国内で著名人であろうが、仕事の実績を出している人であろうが「世界の一流の舞台に立った人」にしか絶対にわからない視点や、知らないこと、モノの考え方がある。

シンシナティ大会・セミファイナル終了前。他のコンテスタントたちと共に

私がラスベガス国際大会が終わるまで田村さんの「公認ストーカー」となり、ブログで追い続けたいと思った理由。
それは、田村さんのトーストマスターズにおけるネームバリューやブランドにとらわれることなく、世界の第一線で活躍する「世界へ挑む日本人」だからであり、その姿を伝えたかったからである。
「世界に挑む日本人」は何を考え、何を重視し、何にインスパイアされるのか—有名人では敷居が高すぎて現実味がわかない。なおかつ巨大なカネとヒトが動くのだから力を発揮してもらって当然である。
しかし、田村さんはスピーチを除けば、私たちと同じ「一般人」なのだ。
普通の社会で活躍している人が堂々と、しかし裏では過酷なフィードバックを重ねて世界へ挑む姿を通し、これからトーストマスターズの世界に入る人、田村さんのことは知らないけれど 「このブログで田村さんの事を知って、励みになった。自分も目標に向かって頑張ります」というすべての人たちのために—

ディストリクト76注釈:
この記録は、唯一の日本人セミファイナル入賞を果たした(2019年5月時点)田村直樹さんが国際大会出場を決めた2015年5月から8月までのドキュメンタリーとして、メンバーより寄稿いただいたものです。ディストリクト76としては、全国コンテストや国際大会の雰囲気を感じてもらうための資料として、転載しております。寄稿者や登場人物の感想や思いなど主観に関する表現については、あくまでそれぞれの主観であり、ディストリクト76のハウスオピニオンではないことを最初におことわりいたします。また、トーストマスターズの専門的表現が一部あります。主にトーストマスターズ会員や、トーストマスターズについて多少の知識があることを前提とした内容のため、全ての語句に説明書きはついていません。予めご了承くださいませ。なお、記事内のメンバーの所属クラブなどの情報は当時のものです。

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